胃カメラって何ニャ??美味しそうニャ〜
あなたは胃カメラを飲むのがお好きですか??
「好きです!!」と答える方は少ないですよね。
胃が痛かったりの症状があって、お医者さんに「胃カメラ飲みますか?」って言われると、途端に緊張しますでしょうね。
中にはすごくつらい思いをして、「もう二度と受けたくない!!」って思った方もいるでしょうね。
また、一度も胃カメラを受けたことがなく、不安な方もいらっしゃるでしょう。
今回の記事は、そんな方が胃カメラを楽な気持ちで受けられるためになるためのコツを書きました。
- 胃カメラがトラウマになっている方
- 胃カメラの経験がなく、とにかく不安な方
- 今まで受けてきているけど、胃カメラのコツを再度確認したいという方
こちらの記事を読み終わった頃には、心の準備ができて、だいぶん気持ちが楽になると思います。
目次
僕は胃カメラを1万人以上の方に行ってきました
僕はプロフィールでも紹介していますように、「消化器内科」を専門とする医師です。
プロフィール記事はこちら↓
消化器内科の一つの仕事は内視鏡で検査をすることです。胃カメラはその中でも最も数多く行っている検査です。
およその数なのですが、僕は月に50名ほどの胃カメラを担当し、年におよそ600件。医師になって今年で18年目になりまして、胃カメラのトータル件数は600✖️17年で10200件。
おそらく1万件を超える胃カメラを行ってきたことになるでしょう。
経験を重ね、おかげさまで、胃カメラで患者さんを苦しくさせないコツも会得し、今ではかなりの自信があります!!
僕を信頼してくださる方、みなさんに胃カメラの担当をさせていただきたいですが、僕が北海道にいる以上、なかなか実現は難しいですね。
せめて、この記事を読んでいただいて、ラクな気持ちで胃カメラを受けていただきたいと思っています。
胃カメラを飲むのも得意です
自分自身は胃カメラは受けたことがあるの?っていう話ですよね。
医師でも胃カメラ受けたくない方って、たくさんいるんですよね。
「俺はいいよ・・・」って避けられちゃいます。
僕は違います。僕はいつも喜んで胃カメラを受けています!!
そして、一度も苦しいと思ったことはないです。
検査を受ける側としても、苦しくならないコツを会得しているんです。
そのコツは後で説明いたします。
胃カメラを受けるシチュエーション4つ
胃カメラを受ける、きっかけは実はいろいろあります。そのきっかけによって、心構えも少し変わってきます。
それでは、まず胃カメラをどんな機会で受けることになるか、確認しておきましょう。
大きくは次の4つです。
- 人間ドックの項目の中に胃カメラが含まれている
- 胃痛や胸焼けなどの症状があって、診察を受け、医者に「それでは胃カメラをお受けてください」と言われた時
- 吐血(血を吐く)や、血便(おもにタール便と呼ばれる黒色の便)が出たりした時に、緊急で胃カメラで出血を止めなければならない時
- 刺身や自分で調理した魚を生で食べた後から胃が痛む場合(アニサキスという寄生虫が胃に食いついている可能性が高い)
- 検診や人間ドックなどでピロリ菌が陽性と言われた(この記事では詳細は省きます)
それでは、まず人間ドックの胃カメラについて詳しく書いていきます。
人間ドックで胃カメラを受ける前の心構え
毎年、会社で人間ドックを受けている方は、たいていメニューの中に胃カメラが含まれていると思います。
胃カメラが含まれているかは、年齢で区切られていることも多いため、35歳以上、40歳以上になってから、ということもあるでしょう。
会社やグループの単位で事前に申し込むことになると思います。
ここで、大事なことがあります。
それは「鼻からの胃カメラ」が可能かどうか、確認することです。
なぜ、鼻から胃カメラができるかどうかが、そんなに重要なのでしょうか。
次は鼻からのカメラのメリット、デメリットを確認しましょう。
鼻からのカメラのメリット、デメリット
昔は胃カメラは口から飲む機種しかありませんでしたが、今は鼻から通る細いカメラがあります。
もうすでに、体験済みの方も多いことでしょう。
「カメラが細い」のですから、検査をラクに受けられることは、なんとなく想像つきますでしょうか?
その鼻からのカメラもメリットだけではなく、デメリットがあります。
メリット、デメリットをまとめてみました。
- 検査を楽に受けられることが多い
- 涙や唾液が出にくい(口からのカメラを飲むとダラダラ出てしまう・・・)
- 胃を押される感じが少ない
- 鼻血が出やすい方はできないことがある(飲んでいる薬の影響も考慮される)
- アレルギーなどで鼻腔(鼻の中のスペース)が狭い場合は、カメラが通らない
- 口からのカメラより、画像の解像度(鮮明さ)が低い
このようなデメリットがあるものの、「検査をラクに受けられる」メリットは大きいですよね!
ですので、特別な理由がなければ、鼻からのカメラを希望しましょう!
もちろん、「自分は口からのカメラで慣れている」という方は、口の方を選択してもかまいません。
診察で胃カメラを勧められた時(緊急でない場合)
医者の診察を受けて、「それでは、◯月◯日に胃カメラをしましょう」と言われたとします。
この時も時間的猶予がありますので、「鼻からのカメラを受けたいです」などと、希望を伝えることができます。
しかし、目的や経過によっては、「口からのカメラでないといけない」場合があります。
それは次のような場合です。
- 胃のバリウム検査などで病気が強く疑われている。この場合は、解像度の高いカメラでしっかり確認する必要あり。
- より精密な観察を行うために、特殊な光(専門的にはNBIなどを用いる)を使った検査を行う場合や、「拡大観察」という病気の部分を拡大して見なくてはならない場合。
- 以前に鼻からのカメラを受けたけど、鼻の通りが悪くてできなかった場合。
検査がラクになるのに越したことはありませんが、無理に鼻カメラを希望された際に、やはり検査が不十分となってしまい、「やはり口からのカメラを受けてください」と言われてしまったら、二度もカメラを受けることになり、時間もお金も無駄になってしまいますね。
それだけは避けたいものですね。
緊急でカメラを受けなければならない時
前述しました通り、「出血している」可能性がある際はカメラで『止血』する処置を受ける必要がありますので、必ず口からのカメラを飲む必要があります。
胃潰瘍などから出血した経験がある人は、おわかりでしょうね。
止血の処置は、相当な時間がかかり(20~30分はザラ)、かなりツライと思います。
カメラを操作する医師も相当な集中力と体力を使い、疲弊します。
くれぐれも胃潰瘍にならないように気をつけましょう。
日頃の健康管理がモノをいいます。
アニサキス症が疑われる場合
この場合は、ひどい胃痛があります。
しかし、放っておいても、命に関わることはまずありませんし、内服薬などで痛みをごまかすことはできます。
たいていの場合、医者から「胃カメラをすぐにやりましょう」と勧められるでしょう。
アニサキスをカメラで取り除いてもらうと、すぐに痛みが引いてくるからです。
アニサキスが胃に入ると、胃の壁に食いついて離れなくなってしまうんです。
なので、なるべくなら胃カメラでアニサキスを取り除いてもらいましょう。
実際に胃カメラを受ける日の心構え
これまで解説してきました、胃カメラを受けるに当たっての予備知識はオッケーでしょうか?
前の日の食事はついては20時までに済ませましょう。
当日、朝起きてから、検査までは飲食はできない場合が多いです。
それでは、いよいよ胃カメラの当日、実際に病院に入ってからの話に入ります。
受ける直前、本番、受けた直後に分けて、お話ししていきたいと思います。
胃カメラを受ける直前の心構え
病院の中に入りました。ドキドキですね。
胃カメラを受ける時はたいてい、病院の中の「内視鏡室」に案内されます。
カメラを受ける部屋に控え室がある場合が多いでしょう。
まずは、控え室で看護師さんより体調チェックが入ります。
血圧測定、体温測定、何か特別な症状がないか、などです。
また、薬をきちんと飲んだか、飲まなかったかも確認されます。
薬を飲んでいる方は、事前に休む薬、飲んでくる薬を指定されていることでしょう。
ちなみに、昔は「血液をサラサラにする薬」は胃カメラの前に中止するように伝えておりましたが、最近は中止しないことが多いです。
これは病気の状態、病院や医者の考えにもよりますので、ご注意ください。
また、しばしば、予定されていた胃カメラが中止される場合があります。
次のような場合です。
- 発熱などの体調不良がある場合
- 極度に緊張している場合
- 血圧が異常に高い場合
- etc
やむを得ず中止される時はそれなりの理由がありますので、従うことにしましょう。
のどや鼻に麻酔を受ける時の心構え
ここが事前の準備で最も重要なところです。
麻酔の効き方で、胃カメラの苦痛がかなり変わります。
麻酔と言っても、手術の時に行うような「全身麻酔」ではなく、のどや鼻の粘膜の感覚を麻痺させる局所麻酔です。
麻酔薬アレルギーがある時は、必ず申し出ましょう。
麻酔の方法は鼻からのカメラ、口からのカメラでやり方が変わります。
それぞれ解説していきます。
- ゼリー状の麻酔薬を、5分以上、飲み込まず、のどに溜めたままにしておきます。→それなりにしんどく、間違って飲み込んでしまうこともあります。また、吐き気を催して、吐いてしまうこともあります。
- 麻酔薬のスプレーを追加でのどにしてもらうことが多いです。
→これも苦いですが、効果抜群です。特に①を十分にできなかった方は、スプレーをしっかりしてもらいましょう(シュッ、シュッと5プッシュ以上)!!
- 鼻に、鼻血が出づらくなる薬を注入してもらいます。
- 鼻に麻酔薬のスプレーをしてもらいます。
- 鼻の中の通りをスムーズにする細い管(ネラトンという)を通してもらう。これは少し痛いです。
- 喉に軽く麻酔のスプレーをします(やらない病院も多い印象)。
さあこれで、のど、または鼻がしっかり麻痺して、シビれた感じがしているはずです!!
さあ、いよいよ本番!
さあ、いよいよあなたの順番です。
胃カメラを受ける内視鏡室に案内されます。
緊張してしまうと思いますが、なるべく深呼吸をして、無心になりましょう。
担当の先生が、優しく接してくれると嬉しいですね。
「〇〇さんですね、胃カメラ初めてなんですね。難しいかもしれませんが、全身の力を抜いて、リラックスしていてくださいね。」なんて言われるといいですね。
ベッドに横になります。胃カメラを受ける時は、左を下にして寝た状態になります。
たいてい、看護師さんが近くにいてくれます。優しい看護師さんは背中をさすってくれます。背中をさすってくれると、より安心できると思います。
いよいよ、カメラが入っていきます。
先生、「カメラ、入りますよ〜」
全身の力を抜いて、特に舌とのどに力を入れないようにしましょう。
力を入れると、咽頭(のど全体)が収縮していまい、カメラが通過しづらくなり、「オエっ」ともなりやすくなります。
そして、口の奥を開くように、大きく深呼吸です。軽く、ゆっくり、「ハー、ハー」と呼吸するようにしましょう。胃カメラがのどを通るスペースを広げるイメージです。
のどが緊張していなければ、先生があっという間にスッとカメラを入れてくれます。
カメラが入る瞬間は少し苦しいですけど、すぐにラクになりますので、落ち着いて呼吸をしっかりしていましょう。
どうしても緊張してしまう場合などに、カメラがなかなかのどを通らないことがあります。そんな時は、先生から「ゴクっとつばを飲むようにしてください」と言われると思いますので、その通りやってみましょう。
実際につばは飲めないかもしれませんが、その動きでのどの入り口が開いてくれ、カメラを飲むこむ動きが自然と出てきます。
あせらないで臨みましょう。必ずうまくいきます。先生を信じましょう。
のどを無事通過して、体内に入った胃カメラは食道、胃、十二指腸を通過し、観察、写真撮影が行われれます。
検査の最中は、なるべく目を開けて、自分の胃の中を映し出しているモニターを見ていましょう。
目を閉じていると、何をされているかわかりづらい上に、時間が長く感じると思います。
せっかくの機会なので、しっかりモニターを見ていましょう。
検査はおよそ5〜10分で終わります。
『生検』という、病変の一部を摘んで取って顕微鏡で調べる検査が行われる場合は、少し検査時間が長くなります。
あとは病変をはっきりさせるために、「色素」を撒く場合もあります。
ここでは胃カメラで見つかる病気については割愛させていただきます。
検査が終わった後
お疲れ様でした!!
きっと涙が出たり、鼻水が出たり、よだれがいっぱい出たりしますけど、みなさん、そうですから、気にしないでください!!
緊張の胃カメラ、やっと終わりましたね。
きっと、すごく長い時間に感じたと思います。
異常がなかったら万々歳!!
異常があっても、前向きに改善に取り組みましょう!
なお、胃カメラが終わった後は麻酔が十分切れるまでに1時間はかかりますので、その間は飲んだり食べたりしないようにしましょう。
また、病変を一部つまんで取る『生検』を受けた場合は、胃の中でジワっと出血している状態ですので、2時間は飲んだり食べたりしないように言われると思います。
胃カメラが終わって、その日にお酒をたくさん飲んだり、美味しいものを食べたりは控えましょうね。胃がびっくりしてしまいますので。
『眠って検査を受ける方法』について
今まで胃カメラを受けて、鼻からのカメラを受けても、いくら工夫しても毎回ツラかったという方。100人に1人ぐらいはいらっしゃると思います。
本当にお気の毒だと思います(泣)。
そんな方は、「麻酔」で検査を受けるべきなのでしょうね。
『眠って検査を受ける方法』って、「麻酔」と呼ばれることが多いようです。言い回しとしては、確かにわかりやすいです。
今は、それなりの規模の病院であれば、希望すれば「麻酔」してくれるはずです。
「麻酔」することをルーチンにしている病院もあるぐらいです。
僕も希望する方には、「麻酔」を行っています。
ただ、「麻酔」にもリスクがあることは理解しておきましょう。
「麻酔」は鎮静剤という薬を使います。副作用ももちろんあり、「呼吸が弱くなる」「呼吸が止まってしまう」「血圧が下がってしまう」という重く命に関わる副作用もあります。
脅すのは好きじゃありませんが、全国的には鎮静剤を使用したことで死亡した例もあります。
一応、覚えておいてくださいね。
人間ドックでは基本的に「麻酔」での胃カメラはできません。人間ドックは自費診療なので、「鎮静剤を使用する」という治療行為は同時に行うことは基本的にできないんです。
胃カメラをどうしても受けたくない方
「どんなに勧められても、胃カメラは受けたくないです!」
「前に受けて、すごくつらかったから、胃カメラは二度と受けません!」
という方もいらっしゃるでしょう。
それも一つのお考えです。僕はあなたの意見を尊重したいと思います。
「バリウムでもいいんですよね?」と思われる方。
バリウム検査でも、およその病気はわかりますが、胃カメラより病気の発見率がかなり落ちることはご理解くださいね。
さいごに
ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます。
あなたの胃カメラに対する拒否反応や不安を少しでも取り除くことができたなら、僕はすごく嬉しいです。
胃カメラについて、お聞きになりたいことがあれば、いつでもお問合せください。
あなたが一生健康でいられることを、いつまでもお祈りします。
それではまた。
こんにちは!
こばやし内科のDr.コバです。
今回は僕の専門でもある、胃カメラについての楽な受け方を解説します!
胃カメラが苦手、不安なあなたも、この記事を最後まで読んでいただければ、きっと気持ちが楽になるはずです。