そういえば、最近、毛艶が悪くなってきたニャ。タンパク質が不足しているのかニャ?
あなたはタンパク質をしっかり摂れていますか?
肉・魚・卵・大豆・乳製品・・・これらが良質なタンパク源になりますね。
ほとんどの方は、「しっかり摂れている!」と認識されていることでしょう。
しかし、食べたものがすべて消化・吸収できて、体の中で利用できているとは限りません。
特に胃腸が弱い方は、タンパク質をうまく消化できていないかもしれません。
「痩せすぎていて、太れない・・・」という方は消化吸収に問題がある場合が多いです。
この記事では、『食物中のタンパク質をうまく利用できない原因』についてお話しし、その解決方法についても提案していきたいと思います。
それでは、最後までお付き合いください。
目次
タンパク質は最も大事な栄養素である理由
人の体のうち、20%はタンパク質で作られています。
タンパク質がとても大事な栄養素であることは、多くの方が理解していることでしょう。
体の皮膚・骨格・筋肉・内臓・血管すべてがタンパク質で作られています。
さらに、ヘモグロビンやアルブミンなど、血液中に存在するタンパク質も大事な機能を担って働いています。
大事なタンパク質を挙げるだけでも、次のようなものがあります(前回のブログから引用です)。
これらは、食物中のタンパク質をしっかり消化・吸収し、いくつもの化学反応を経て、合成されるものです。
やはり、まずは食物からタンパク質をしっかり摂ることが重要なのです。
タンパク質不足になっていないかチェック
それでは、タンパク質が不足しているかどうか、簡単にセルフチェックする方法をお伝えします。
誰でも簡単にチェックできる、タンパク質不足を自分で見れる場所は次の3つです。
- 爪
- 髪の毛
- 顔の皮膚
こちらは自分でいつでも見ることができる場所ですね。
いずれもコラーゲンでできており、タンパク質不足があるとすぐに影響してきます。
それでは、具体的にどのようなことをチェックすればよいかを説明します。
爪のチェックポイント
タンパク質不足をチェックするのに、最も簡単でわかりやすいのが『爪』です。
まずはご自分の爪を見てみてください。
きれいなピンク色で、光沢があり、緩やかなカーブを描いていますか?
そして、爪の根元に『半月』がしっかり見えますか?
半月が見えない人は、『タンパク質不足』ですね。
また、爪が割れやすかったり、巻き爪になったりしませんか?
爪に関するチェックポイントをまとめてみます。
- 光沢があるか?
- 緩やかなカーブを描いているか?(平べったい爪は良くない)
- 根元に半月があるか?
- 伸びるのが遅くないか?(1週間に1回ぐらい爪を切るのが適切)
- 割れやすくないか?
- 巻き爪にならないか?
以上のうち、1つでも当てはまれば、タンパク質不足が疑われます。
あなたは大丈夫ですか?
髪の毛のチェックポイント
あなたの髪の毛はいかがですか?
ひどく傷んだりしていませんか?
トリートメントなどを使用すれば、ある程度の髪の毛の傷みは補修できるようですが、やはり限界があるでしょうね。
髪の毛は東洋医学的には『血余』と呼ばれ、血液の状態を反映し、体の栄養状態を表していると言われています。
美しい髪の毛は、きれいで栄養たっぷりな血液から生まれるわけです。
タンパク質不足が疑われる、髪の毛の状態は次のようなものです。
- 髪が傷んでいないか?
- 切れやすくないか?
- 抜けやすくないか?
- 髪の毛がやせ細っていないか?
- 髪の毛にツヤがしっかりあるか?
- 洗髪後に乾きにくくないか?
顔の皮膚のチェックポイント
顔は人の特徴を表すシンボルですね。
体調が悪い時も顔色に現れます。
顔の皮膚の状態も健康のバロメーターと言ってもいいですよね。
例えば、「最近、顔がたるんできた・・・」と思われた方。
それを年のせいにしていませんか?
そうではないかもしれないですよ?
皮膚にコラーゲンが足りなくなると、弾力がなくなり、たるんできてしまうのです。
やはり美容にはコラーゲン、特にタンパク質が大事なのですね。
顔の皮膚のチェックポイントは次のようなものになります。
- たるんでいないか?
- 以前から見るとシワが増えていないか?
- 皮膚にハリがあるか?
- 乾燥しやすくないか?
- (女性の場合)化粧のノリがいいか?
さて、ここまでで、あなたはタンパク質不足が疑われるチェックポイントはいくつ当てはまったでしょうか?
自分は大丈夫!と自信がある方は、次からは読まなくてもいいと思います。
次からは今回の本題である、タンパク質をうまく利用できない理由について解説していきます。
タンパク質をうまく利用できない理由4つ
さて、食べ物からのタンパク質、できるだけ有効に利用したいものですよね。
そのために、タンパク質をうまく利用するためのハードルとなる理由について説明していきます。
主な理由は次の4つになります。
- タンパク質を含む食品を多く食べることができない
- タンパク質を十分に消化・吸収することができない
- アミノ酸を細胞の中でうまく利用できない
- 欠食してしまう
タンパク質を含む食品を多く食べることができない
これはよくあることではないでしょうか。
特に肉類を食べることが苦手であったり、食べると胃もたれするような方もいらっしゃるでしょう。
野菜中心の食生活を意識している方も、タンパク質の摂取量は少なくなりやすいです。
また、年齢を重ねると特に肉類はあまり食べたくなくなる傾向にあるようです。
ですが、元気に長生きされている方は肉をしっかり食べられることが多い印象ですね。
やはり健康長寿の秘訣は、タンパク質を十分に摂取することなのではないでしょうか。
タンパク質を十分に消化・吸収することができない
タンパク質をかなり意識して、多く摂取しているつもりでも、胃腸がしっかり消化・吸収できるとは限りません。
胃腸の消化力は生まれつき、ある程度決まっているように感じます。
胃腸が弱い方は、やはり栄養を吸収する効率があまり良くないようです。
タンパク質を消化するためには、十分に胃酸が出て、膵臓から消化液であるタンパク質分解酵素がしっかり働く必要があります。
糖質・脂質とは違い、タンパク質はアミノ酸のような小さなペプチドに分解されるまで、かなりの労力を要します。
ここは、かなり個人差の大きい部分でしょう。
蛋白質の消化力が弱い方は、体重も増えにくく、痩せ型の方が多いようです。
アミノ酸を細胞の中でうまく利用できない
タンパク質をなんとかアミノ酸まで消化できて、小腸で吸収できたとしても、さらにハードルがあります。
アミノ酸を体内で利用するためには、肝臓の中でタンパク質として合成される必要があります。
この過程にも、いくつかの化学反応を経由する必要があります。
ここで、酵素が必要であったり、ビタミン・ミネラルも不可欠となってきます。
特にアミノ酸をタンパク質に合成する過程では、ビタミンB6とナイアシンが重要です。
これらのビタミンが欠乏していると、タンパク質を作ることはできないわけです。
欠食してしまう
こちらは意外と盲点かもしれません。
今は『オートファジー』や『間欠的ファスティング』などを実践している人も多くいるようであり、特に朝食を抜いている人が増えていることでしょう。
確かにオートファジーのように古くなったタンパク質を壊して、新しくタンパク質を作ることは、かなり大事な過程だと考えられます。
しかし、朝食を抜いた場合に、絶食の時間が長くなると、体内のタンパク質を栄養として利用せざるを得なくなります。
その場合、タンパク質の中では特に『筋肉』が分解されやすいのです。筋肉の中のタンパク質が糖新生を起こして、ブドウ糖に変えられることになります。
ですので、朝食抜きの食生活を続けていると、筋肉が徐々に減っていったり、筋トレをしてもなかなか筋肉がつかない、ということになりやすいです。
僕も以前は朝食抜きでしたが、筋肉量の低下を自覚していました。
「筋トレをやっても、なかなか筋肉がつかないな〜」と感じていました。
僕はタンパク質を有効に使えていなかったわけです。
タンパク質をうまく利用できるようになるための方法
今までお話ししてきましたように、タンパク質をしっかり体内で利用できるようにするためには、いくつものハードルを超えなくてはいけないわけです。
しかし、そのハードルを低くする方法はいくつもあります。
主には次のようなことになるでしょう。
- 毎食、必ずタンパク源となる食品を摂取する
- タンパク源となる食品を間食として摂取する
- 胃酸がしっかり出ているかをチェック
- 胃酸を刺激する食品を摂る
- サプリメントを利用する
それでは、それぞれについて解説していきますね。
毎食、必ずタンパク源となる食品を摂取する
朝・昼・夕の食事の際、タンパク源をしっかり意識して摂取していますか?
よくありがちなのが、『おにぎり』だけ、『パン』だけ、『麺類』だけとかですが、そのようなことはなるべく避けましょう。
糖質メインの食事では血糖値の上下を招き、タンパク質も不足しがちになります。
特に朝ごはんですね。
夜眠ってから、絶食の時間が長いため、タンパク質の分解が起きやすくなります。
朝ごはんに、卵や魚などのタンパク源をしっかり摂取するようにしましょう。
ちなみに僕は、卵・魚・納豆をメインに朝ごはんを摂っています。
すると、1日の体調が安定しやすいことが実感できています。
間食にもタンパク質を
間食といえば、どのようなものを想像しますか?
チョコレートとか、スナック菓子とか、果物などでしょうか。
これらは全て、糖質がメインの食べ物ですので、避けたいところです。
おやつとしても食べられるタンパク質ってなんでしょうね?
お勧めは『ナッツ』と『あたりめ』です。
今ではコンビニでもスーパーでも、いろいろな種類のナッツが売られていますよね。
あたりめも、とても入手しやすいものでしょう。
いずれも優秀なタンパク源であり、手軽に食べられるものですので、ぜひ試してみてください。
胃酸がしっかり出ている?
実は胃酸がしっかり出ているかどうかは、タンパク質の消化において最も重要だと言っても過言ではありません。
胃酸がしっかり出てこそ、タンパク質の消化の第一段階を順調に進めることができます。
胃酸がふんだんに含まれた食塊が十二指腸に入っていくと、膵臓からの消化酵素の出具合も良くなります。
やはり、胃は消化の肝心要なわけですね。
ですが、胃酸がしっかり出ているかどうかは、自分自身ではチェックしにくいことかもしれません。
ちょっとお肉を食べ過ぎたら、「胃がもたれた・・・」「下痢になった・・・」という方は、胃酸の出方が良くない可能性があります。
制酸剤のような胃酸を抑える胃薬を飲んでいる方は、まず間違いなくタンパク質の消化は悪くなっていると認識した方がいいでしょう。
それと、大事なことがもう一つ。
胃の中にピロリ菌がいないかどうかです。
ピロリ菌がいると、胃の粘膜が少しずつ破壊されますので、胃酸の出はどんどん悪くなります。
できるだけ、一生に一回はピロリ菌のチェックをするようにしましょう。
ピロリ菌がいるとわかれば、割と簡単に薬で除菌することができますよ。
胃酸の出を良くする食品
こちらは実践している方もいらっしゃるかもしれませんね。
『レモン』や『酢』は胃を刺激し、胃酸を多く分泌する作用があることが知られています。
消化力が弱いと感じる方は、こちらを使用しても良いかもしれないですね。
しかし、一つ欠点があり、胃酸が出過ぎて『逆流性食道炎』になってしまう可能性があります。
ですので、レモンや酢は頻繁に使用しない方が良いでしょう。
サプリメントを利用する
いろいろ工夫はしているけれど、なかなか効果が感じられない・・・
そんな、困った時にとても頼りになるサプリメントの登場です。
タンパク質をしっかり利用できるようにするサプリメントはいろいろとあります。
それらを簡単に紹介していきます。
- プロテイン
- アミノ酸
- 消化酵素
- ビタミンB群
プロテイン
やはり最初はプロテインです。
今ではさまざまなプロテインが手に入りやすいですね。
しかし、このプロテインはやはり『タンパク質』であるため、しっかり消化・吸収されないと、体で利用することはできません。
飲みすぎると、おなかにガスが貯まりやすくなり、臭いもきつくなります。
「胃腸は丈夫だけれども、タンパク源となる食品を忙しくて食べられない」という人や、筋トレなどでたくさん運動をしている人にとっては、とても役に立つものだと考えます。
アミノ酸
今では筋トレを行なっている人も気軽にアミノ酸のサプリメントを利用しているようです。
タンパク質が分解された状態のアミノ酸が十分に含まれているわけですから、胃腸の消化力はほとんど必要ないわけです。
アミノ酸のサプリメントは、胃腸が弱くて消化酵素を多く出せない人は使うべきでしょう。
病気がちである人や、痩せ型の人には適切なものだと考えます。
しかし、アミノ酸に長期間頼ることは、あまりお勧めできません。
食材からのタンパク質をしっかり摂取できるようになることが目標ですね。
消化酵素
消化酵素にもサプリメントがあることをご存じですか?
実は病院でも膵臓が悪い患者さんなどに、消化酵素の薬を処方されることがあります。
消化酵素も、本体は『タンパク質』です。
ひと昔前は、消化酵素を口から摂っても、胃酸でアミノ酸に分解されてしまい、酵素は失活してしまうという風に誤解されていました。
しっかりした消化酵素のサプリメントは、胃酸で失活するようなことはなく、きちんと腸まで届いて消化を助けてくれます。
現代人の多くは、消化酵素をうまく出せていない可能性があります。
サプリメントとして使用する際も、大きな効果が期待できることでしょう。
ビタミンB群
ビタミンBの重要性についても、このブログでは再三、申し上げてきました。
食物中のタンパク質がしっかり消化されて、アミノ酸として腸で吸収されたとしても、ビタミンB群が不足していると、問題が起きます。
アミノ酸を再び、タンパク質に合成することができないのです。
ビタミンB群のサプリメントから十分に摂取することで、この過程はしっかりカバーすることができることでしょう。
タンパク質不足の悪循環を立ち、好循環に持っていく
最後にご理解いただきたいことです。
食べ物からのタンパク質摂取が不足してしまうと、栄養としてのタンパク質が不足するだけではんなく、『消化酵素』、『代謝酵素』のような酵素も不足してしまいます。
消化酵素や代謝酵素も、タンパク質で作られているからです。
消化酵素が不足すると、食べ物からのタンパク質をさらに消化できなくなってしまいます。
代謝酵素が不足すると、アミノ酸をタンパク質まで合成することができなくなってしまいます。
このように、タンパク質不足は悪循環を作ってしまうのです。
その悪循環を断ち切ることは容易ではなく、大きな病気につながってしまうわけです。
そうならないためにも、この記事でご紹介したような食事の工夫をして、サプリメントもうまく活用していただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こんにちは!こばやし内科クリニックの小林です。
今回は三大栄養素の中でも最も重要な『タンパク質』について記事を書きました。
最も重要な栄養素であるにも関わらず、消化吸収して利用できることが最も難しい栄養素なのです。
ちょっと意外かもしれませんね。
タンパク質不足になる原因には主に4つあり、どれもそれなりに高いハードルであることをご理解いただけると幸いです。