ボクも、歯が大事なことはとても良くわかるニャ〜。
つい先日ですが、歯に関する書籍をAmazonのKindleで購入しました。
とても読みやすく、わかりやすいので、あっという間に読んでしまいました。
歯についての重要性は前から何となくは認識していましたが、その本を読んで、より理解が深まりました。
やはり、歯は人間にとって命なんですよね。
だいぶ前に、『芸能人は歯が命!』というCMをやっていたことを思い出しました。
医師としても、歯をおろそかにしている人は、いろいろな病気にかかりやすいことは実感していました。
目次
歯の大事さ
歯を大事にしないと、健康を害することは、誰もが認識していることだと思います。
しかし、具体的にどのように身体に悪影響があるかを知っている人は、そう多くないでしょう。
そして、医療従事者でも歯のことに注目している人も、あまり多くはない印象です。
このブログを読まれている方にも、歯周病でお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか?
歯を大事にすることがいかに大事なことか、この記事で解説していきたいと思います。
読んだ本はこちら
今回、僕が読んだ本は歯科医師でいらっしゃる、森永宏喜先生の著書『歯周病はすぐに治しなさい!』です。
森永先生は僕と同じオーソモレキュラーによる栄養療法を実践しており、OND(Orthomolecular Dental)の代表をされていらっしゃいます。
こちらの著書では、森永先生が患者さんに対し、オーソモレキュラーを併用した歯科治療で改善した経験について多く語られています。
特に令和元年に起きた『房総半島台風』で被災を受けた際には、口腔ケアとサプリメントが非常に役に立ったとのことです。
言うまでもありませんが、僕は歯科については全くの素人ですので、専門的な知識は皆無です。
今回のブログは森永先生の書籍から学んだことを中心に書き綴っていきたいと思います。
書籍からの引用が多いこともご了承ください。
歯が健康に与える影響が大きい理由
歯がとても大事であることは、認識されていることと思いますが、具体的には何が大事なのでしょうか?
- 噛むことが消化の第一歩であるから
- 噛むことで唾液が出るから
- 口は全身につながっているから
それでは、それぞれについて説明いたします。
噛むことが消化の第一歩
食事を摂る時、『よく噛むように』言われますよね。
やはり、食べ物を口の中でなるべく細かく砕くことが大事だからです。
よく噛むことで、アミラーゼという消化酵素を含む唾液も多く出ることとなります。
また、よく噛んでいると、脳が満足感を感じやすくなると言います。
満足感を感じるには20分ほどかかると言われています。
早食いの人は、満足感を感じることなく、食事を続けてしまうため、必要以上に食べてしまう可能性がありますね。
食べ物をよく噛んで、『唾液を多く出すこと』、『満足感』を出すことが大事。
噛むことで唾液が出る
『唾液』を出すことも、ものすごく大事です。
唾液は消化酵素のアミラーゼを含むだけではありません。
唾液を出すことで、虫歯の予防になると言われています。
虫歯は歯が酸性に傾くことで、カルシウムが溶け出すことで起きますが、唾液は弱アルカリ性のため、歯が酸性になることを防ぎます。
また、唾液には殺菌作用があり、有毒な細菌を攻撃する働きがあります。
唾液の出が悪いと、口の中で悪玉菌が増え、口臭がきつくなったり、口の中が粘ついたりします。
唾液中にはさらに、さまざまな生理作用を持つ物質が分泌されます。
- 脳由来神経栄養因子(BDNF):不安に負けず、脳を活性化する
- 神経成長因子(NGF):認知機能の改善に働く
- 上皮成長因子(EGF):粘膜や皮膚の傷を治すのに働く
このように、唾液の機能はとても多彩であり、若返りホルモンのようなものを多く出すことがわかっています。
唾液が出なくなることが、人の体にとって、いかにマイナスになるかをご理解いただけると幸いです。
口は全身につながっている!
口は消化管の入り口であり、胃と腸につながっています。
それだけではなく、口は全身とつながっています。
口の中は、すべて粘膜で包まれています。
粘膜には無数の毛細血管が張り巡らされています。
口の中のものは、容易に粘膜に吸収されてしまいますので、毛細血管に入ると、全身に運ばれてしまうわけです。
例えば、薬を舌下投与、つまり舌の下で溶けさせて吸収される方法がありますが、こちらも非常に即効性があります。
薬ならまだしも、口の中の有毒な悪玉菌が発する毒素も粘膜で吸収されてしまいます。
口の中の細菌のバランスを整えることが、いかに重要かおわかりいただけることでしょう。
『腸内細菌』も大事なのですが、『口内細菌』もかなり重要であるこということですね。
歯周病って何?
昔はよく、『歯槽膿漏』という言葉を聞きました。
歯槽膿漏も歯周病の一つですね。
『歯周病』という用語も、かなり一般的になってきましたね。
そして、実はかなり頻度の高い病気となっています。
45歳を超えると、50%以上の人が、歯周病にかかっているそうです。
あなたは大丈夫ですか?(僕はたぶん大丈夫・・・)
e-ヘルスネットで歯周病に関する詳しい統計が出ています。
それでは、歯周病がどんな病気か、ご存知ですか?
歯周病とは、『歯の周りの歯茎に細菌や歯垢がたまり、炎症を起こすことで、出血を起こしやすかったり、痛みを起こす状態』を指します。
歯の周りにはスキマができてしまい、『歯周ポケット』と言われます。
問題になるのは、歯周病を放置すると、歯が抜け落ちやすくなってしまうことです。
さらに、細菌が歯周ポケットにたまることで、全身に細菌や炎症を起こす物質がばら撒かれる可能性もあります。
健康で長生きするためには、歯を大事にすることはもちろんのこと、歯周病の予防や早期治療がかなり重要であることがおわかりいただけると思います。
歯周病がどんな病気につながる?
歯周病が起こると、細菌やその毒素が全身に運ばれてしまうことにより、病気につながってしまうということはご理解いただけましたか?
それでは、具体的にどのような病気につながってしまうのでしょうか?
- 動脈硬化
- 心筋梗塞・脳梗塞
- 糖尿病
- 誤嚥性肺炎
- 骨粗鬆症
動脈硬化
歯周病が口の中で起きることによって、細菌やその毒素が血管を通って全身に運ばれるとご説明しましたね。
つまり、一番最初に影響を受けるのは『血管』なんですね。
血管の中でも、動脈に炎症が生じてきます。
そうすると、傷ついた血管にコレステロールが蓄積したり、白血球が集まってきて炎症を起こしたりします。
そのことによって、『動脈硬化』が少しずつ進んでいきます。
動脈硬化がさまざまな病気につながることは、よく知られていることですね。
糖尿病
歯周病と糖尿病が密接な関係にあることは、近年よく言われるようになってきました。
歯周病になると、糖尿病になりやすくなります。
反対に、糖尿病の状態にあると、歯周病になりやすくなります。
つまり、歯周病をしっかり治さないと、悪循環を断ち切ることは難しいということです。
さて、なぜ歯周病が糖尿病につながってしまうのでしょうか?
少し学術的な話になりますが・・・
歯周病が起こることによって、脂肪細胞にも悪影響を来します。
脂肪細胞が『TNFーα』というサイトカインを多く分泌することによって、『インスリン抵抗性』という病態が生じます。
インスリン抵抗性という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
インスリン抵抗性とは、インスリンそのものの効きが悪くなり、血糖値を下げるために必要なインスリンが過剰になってしまうことを指します。
インスリンが過剰に出てしまうことで、脂肪細胞が肥大化し、食物からの糖質を脂肪に変える力が大きくなってしまいます。
インスリンが過剰に出過ぎる状態が続くと、インスリンを出している膵臓は疲れてしまい、インスリンの出は徐々に悪くなってしまいます。
そうすると、血糖値がどんどん上がってきてしまうわけです。
このように、歯周病が起こす慢性的な炎症が、糖尿病の引き金になってしまうということです。
心筋梗塞・脳梗塞
最初に歯周病によって『動脈硬化』が進むことをお話ししましたね。
動脈硬化が進むと、細い動脈から影響が出て、狭窄してきてしまいます。
全身のどの血管でも起こり得ることですが、最も影響が出やすいのは『心臓』、『脳』、『足の血管』です。
その中でも命に関わりやすいのは、『心筋梗塞』、『脳梗塞』ですね。
歯周病を治さないと、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるというのは、なんとも怖い話ですね。
歯周病により心血管系疾患のリスクを約15%高め、脳血管系疾患のリスクを約13%高めるという研究結果があるそうです。
誤嚥性肺炎
さらに、歯周病は誤嚥性肺炎につながります。
歯周病の原因となる歯周病菌が気管に入ると、肺炎を起こしやすいと言われています。
また、歯周病になると歯がどんどん失われ、噛むことも十分ではなくなります。
噛まないことが『誤嚥(食物が気管に入る)』ことにつながり、また唾液の出も悪くなります。
唾液が十分に出ないと、口の中で悪玉菌が増えてしまいます。
僕の経験でも、歯が十分にない人が誤嚥性肺炎になりやすい印象です。
骨粗鬆症
歯周病と骨粗鬆症の関連は、特に閉経後の女性が注意すべきことです。
閉経後の女性では、『エストロゲン』という女性ホルモンが減少することによって、歯のカルシウムが溶け出すことで、歯がもろくなってきてしまいます。
さらに歯の周囲に炎症が起こりやすくなり、歯周病につながっていきます。
歯周病により、食物からの栄養吸収に問題が生じ、ビタミンDやカルシウム不足により骨粗鬆症へとつながっていきます。
また反対に、骨粗鬆症があると、歯を支える顎の骨ももろくなってきてしまい、歯周病を起こしやすくなってきます。
閉経後の女性は、より多くのビタミンDを摂取するべきであり、そのことが骨粗鬆症や歯周病のリスクを減らしてくれることでしょう。
歯周病を予防するためには
これまでのお話で、歯を大事にすること、さらに歯周病を最大限予防することの重要性をご理解いただけたと思います。
それでは、具体的に歯周病をどう予防すればよいでしょうか?
歯科に小マメに通うことも、まずは大事なことですね(僕はまだ通っていませんが)。
定期的に歯のチェック、歯周病になっていないかどうかを見てもらうことが大切です。
その上で、自分でできる歯周病の予防法を挙げます。
- 歯磨きを怠らない
- デンタルフロスや歯間ブラシを使う
- 食事に気をつける
- サプリメントを利用する
それでは、それぞれについて解説していきます。
歯磨きを怠らない
たかが歯磨き、されど歯磨きですね。
歯を全く磨かない人は、まずいないとは思います。
歯磨きの一番の目的は、『歯垢を落とす』ことです。
細菌が口の中で繁殖しやすいのは、寝ている時です。
やはり、寝る前に歯垢をできるだけ落とすことが、大事ですね。
そして、朝起きてから、歯垢を落とすこともまた大事です。
とは言っても、疲れてどうしようもない時、酒に酔った時などは、つい歯磨きをスキップしてしまいたくなりますね。
しかし、体調が悪い時こそ、歯磨きはしっかりするべきしょう。
最も大事な歯磨き、おろそかにしないようにしたいものですね。
デンタルフロスや歯間ブラシを使う
デンタルフロスの認知度もだいぶ上がってきているようですね。
この記事をお読みの方も、すでに使用されているでしょうか?
僕は使ったことがないのですが、使用には少しコツがいるようですね。
デンタルフロスや歯間ブラシは、歯の間の歯垢を取るには、うってつけの道具ですよね。
こちらは一度、かかりつけの歯科に行って相談してみてはいかがでしょうか?
食事に気をつける
丈夫な歯を保ち、歯周病にならないようにするためには、食事に気をつけることもすごく大事ですね。
甘いものを好む子供は、虫歯になりやすいです。
これは糖質の影響で、歯垢が増え、虫歯菌が増えてしまうからです。
大人も一緒で、炭水化物や糖質メインの食事を摂る方は、虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。
また、やわらかいものばかり食べていると、噛む回数も減り、唾液もあまり出す必要がないため、口の中の環境も悪くなってしまいます。
丈夫な歯を作るのも、やはりコラーゲンが必要です。
コラーゲンをしっかり合成するためには、食事からのタンパク質がとても大切ですね。
サプリメントを利用する
口の中の環境を整え、歯周病を予防するのに最もキーとなるのは『ビタミンC』です。
ビタミンCには『抗酸化作用』があります。
なぜビタミンCがキーとなるのでしょうか?
口の中の環境を整えるのは『唾液』であると言ってもいいでしょう。
実は、唾液を出す『唾液腺』は、とても酸化ストレスに弱い臓器なのです。
酸化ストレスは精神的ストレス、農薬、添加物、薬物など、さまざまなことで起きます。
それらに対抗するのが『抗酸化物質』であり、ビタミンCがその代表的なものです。
ですので、十分なビタミンCを摂取することで、唾液腺の酸化ストレスを除去し、唾液が順調に出るようにすることが可能なわけです。
さらに、ビタミンCは、鉄と一緒に『コラーゲン』を合成する働きがあります。
コラーゲンがしっかり合成されることで、丈夫な歯を作り、口の粘膜も頑丈になってくるわけです。
サプリメントとしてビタミンCを利用するメリットは、歯や唾液にとっても、大きなメリットがあるということです。
さいごに
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
『一生健康でいるため』、『病気にならないため』には、歯を大事にすること、口の中の環境を整えること、歯周病を予防することの3つがすごく大事であることをご理解いただけましたでしょうか。
『かかりつけ医』としての医師も大事だと思いますが、『かかりつけ歯科医』もとても大事ですよね。
日本人全員がかかりつけ歯科医を持ってもいいぐらいですよね。
実は僕は、歯科に10年以上かかっていないのですが、歯が痛かったり、歯周病の兆候もないため、歯科受診をサボっています(笑)。
僕も近いうちに、かかりつけの歯科医師を探さないといけないな、と思っているところです。
この記事をお読みくださった、あなたもご検討いただけると幸いです。
それではまた。
こんにちは!こばやし内科クリニックの小林です。
今回は、誰しも大事にすべき歯についてのお話です。