ワシは長生きなんか、せんでもよいワイ!
あなたは、「長生き」したいと思いますか?
誰でも「元気で長生きしたい」と思いますよね!
中には「太く短く行きたい!」という豪傑もいらっしゃるでしょう。
ちなみに僕は、長生きしたいとはさほど思いませんが、元気に生きている間は人のためになる仕事を続けたいと切に願っております。
そのために、将来寝たきりにならない体づくりを心がけています。
最近サボりがちですが・・・(泣)
さて、あなたもご存知の通り、日本人の寿命は世界一です。
- 男性:81.64歳
- 女性:87.74歳
すごいですよね。普通に生きていれば80年以上は生きられるわけですから。
それとよく比較されるのが「健康寿命」です。ご存知でしょうか?
寝たきり、認知症などになる前のある程度健康な状態である期間のこと
健康寿命とは、自分自身である程度のことが一通りできる期間のことなんですね。
日本の健康寿命はどのくらいなのでしょうか?
男性:72.14年
女性:74.79年
日本の健康寿命は平均寿命と大きく開きがありますね。
平均寿命と健康寿命を比べると、男性は10年程度、女性は13年程度の差があります。
つまり、「男女とも10年以上は寝たきりになっている人が多い」ということになります。
これはすごく残念な結果ですよね。
ですが、病院に通院している患者さんでも、90歳を超えても耳も遠くなく、シャンシャン歩いていらっしゃる方が多くいますよね。
そのような方はどんな人生を送って来られたのでしょうね。
おそらく人生の大先輩として見習うべきところがたくさんあるのではないでしょうか。
これから、日本の平均寿命はおそらくもっともっと伸びていくことでしょう。
最近、よく耳にするのが「人生100年時代」です。いかに元気な100歳を目指すかですね!
僕は100歳まで生きられるかわかりませんが、折り返し地点と思われるアラフィフに近づいてきました。
歳を重ねても、周りにとってお荷物になるような存在にはならないようにしたいものです。
自分も含めて、ご両親など家族にいかに元気でいてもらうか、大事なことですね。
健康長寿を目指す道標となる文章になるように配慮しました。どうか最後までお読みください。
目次
◯◯◯◯とは・・・
◯◯◯◯の答えを言わないと、話が続かないので、先に伝えてしまいますね(笑)。
答えは「フレイル」です。
医療従事者なら聞いたことがあるでしょう。
最近、高齢者については「フレイル」と「サルコペニア」を予防することがトピックスになっています。
一般の方は聞き慣れないかもしれませんね。
- フレイル:加齢などにより身体が虚弱となり、病気になりやすい状態。
- サルコペニア:筋肉が衰え、動きや活発さが低下した状態。
今回はフレイルに焦点を当てて、お話を進めていきます。
フレイルとは英語のfrailityのことで、直訳すると「衰え」や「衰弱」のことです。医学的に言うフレイルとは、やせ細っていたり、食欲がなかったり、思うように歩けなくなっている人のことを指します。
フレイルには決められた基準があります。それが以下に示すFriedの基準です。
Friedの基準の5項目のうち、3項目以上を満たすと、フレイルとなります。ただ、この基準だけだと少し曖昧な点がありますので、もう少し明確な基準がJ-CHSによるものです。
こちらのJ-CHS基準のうち、3つ以上該当すると、「フレイル」と診断されます。1~2つ該当すると、「プレフレイル」というフレイルの予備軍と診断されます。
それではJ-CHS基準の一つ一つを詳しく見ていきましょう。
J-CHSの基準について解説!
まずは「体重減少」です。体が弱ると、食欲が無くなってきますね。もちろん体重減少には重大な病気が潜んでいることがあり、要注意です。
次に「筋力低下」です。こちらは非常にわかりやすい基準となっており、握力ですね。あなたは最近、測りましたか?僕は40kg弱で男性としては少し弱めです(汗)。
「疲労感」。こちらも病気から来ることもありますが、気力も体力も衰えると疲れやすくなりますね。
よく患者さんで「いつもだるい、こわいんです。歳のせい?」とおっしゃる方がいますが、歳のせいではなく、身体の衰えのせいなのでしょう。また、食が細くなり、必要なエネルギーが摂取できていない可能性があります。
次に「歩行速度」。1.0m/秒が基準となっています。1分に直すと60m/分ですね。よく物件などで「駅まで5分」という表現が用いられる時は、80m/分で計算されていますね。
そう考えると、60m/分は「少し遅い」ぐらいだと思われ、やや厳しい基準かもしれません。
ちなみに僕は以前は病院まで歩くようにしていました。病院までの1.5kmを15分で歩いていましたので、100m/分ですね。意外と速いかもしれません。
最後に「身体活動」ですね。春から秋にかけては、いい天気の中、日光を浴びて美味しい空気を吸いながらウォーキングしたり、パークゴルフしたりできますね。外が暖かいうちは、ほとんどの方が活動的になれると思います。
問題は冬ですね。特に北海道など雪が降る地域では、無理して外を歩いたりするとツルツル路面で転んだりして危ないですね。
冬に体重が増えてしまうのも、運動不足のためであり、ある程度は仕方ない面があります。
でも、健康を維持するためには一年中、習慣的に体を動かす必要があると考えます。
ぜひ、ストレッチやスクワットなどの筋トレを自宅で行う習慣を取り入れていただきたいと思います。
次の項目からは具体的にどうフレイルを予防し、対処するかについてお話ししていきたいと思います。
ある調査では、65歳以上の人の20~25%がフレイルだったとのことです。
◯◯◯◯を予防するには?
「フレイル」、嫌な言葉ですね。フレイルになりたくないですよね。フレイルになってしまうかどうかは65歳が境目と言われています。
つまり、65歳の時点で身体の衰えを感じていなければ、90歳、100歳になっても衰えが遅く元気でいられる可能性がかなり高くなる、ということです。
また、脳梗塞などの脳の病気、認知症にならないことも大事です。脳血管障害や認知症はフレイルに直結してしまいます。
僕は今44歳ですが、運動も食事も何も気をつけずに過ごしていれば、65歳の時点で衰えているかもしれません。また、病気になってしまうかもしれません。
フレイルにならないためには、30〜40歳の頃から、しっかり対策していかなくてはならないでしょう。
ほとんどの人が元気な高齢者になるためのスタートラインはすでに超えていると言っても過言ではありません。
フレイルを予防する3要素は「栄養」、「運動」、「社会とのつながり」だと考えます。これは東京都長寿医療センター研究所の北村明彦先生の受け売りでもあります。
この記事については北村先生の著書『100年時代の健康法』を参考にして執筆しています。
◯◯◯◯を予防する3要素の一つ「栄養」
「食べ物が体を作る」です。栄養は健康を守る上で、最も重要であることは、多くの方が認識されているところですよね。
僕も栄養について勉強し、実践するようになってから、体が生まれ変わりました。
フレイルに限らず、健康を保つ上での参考になると思いますので、ぜひ読み進めてみてくださいね。ただ、栄養については非常に多岐にわたり、詳しく述べると長くなってしまいますので、エッセンスのみとさせていただきます。
自然とかけ離れた食べ物はなるべく避ける
「体にいい食べ物」って何でしょうね?
本当に体にいいものを食べると、体が喜ぶ感覚が得られたことはありませんか?
『体が喜ぶ食べ物』は自然の旨味や栄養が凝縮されたものだと僕は思います。
効果な調味料や凝った調理法で作られた料理が必ずしも体にいいとは限りません。
なるべく、素材から調理して食べる。
加工食品にはどうしても保存を効かすために添加物などが入っています。『異性化糖』など余分な糖分が入っているものも多いです。
どうしても加工食品を食べたい時は「原材料ラベル」をしっかり確認することです。化学物質が体に入ると体は混乱します。今の食生活の中では化学物質フリーは難しいですが、極力避けたいですね。
体にたまった化学物質はファスティングをすることでデトックスすることが期待できます。
1日3食にこだわらない
食事回数についてはいろいろな意見があろうかと思います。しかし、おなかが空いていないのに、ご飯を食べると胃腸に負担がかかるばかりで、体調を崩しかねません。
1日2食がいいか、1日3食がいいか。ご自分の体とよく相談してみてください。
人によっては1日4~6回に食事を分けた方がいい場合もあります。(極端にやせている、少食の方など)
よく噛んで食べる
よく1口で30回噛みましょう、って言いますね。(僕は正直できていません)
どんなに体にいいものでも、しっかり噛んで食べないと消化器官に過度の負担がかかり消化不良を起こし、せっかくの栄養が吸収できなくなります。
玄米を食べている方は、より意識しましょう。
野菜などの食物繊維が多いものは特にしっかり噛む必要があります。
精製された炭水化物はほどほどに
ラーメン、うどん、パスタ。
パンにお好み焼き・・・
美味しいものばかりですね。
「精製する」というのは、白米や小麦粉、白砂糖など外側を削ぎ落とすことです。食べやすくなって、甘味も強くなって美味しいですよね。
でも、ビタミン・ミネラル・微量元素など、本当に体に必要なものが大部分、排除されています。
白米なら玄米、小麦粉なら全粒粉、白砂糖ではなく黒砂糖やてんさい糖を使用したいものですね。
タンパク質は植物性を多めに、動物性はほどほどに
年を取ると、肉を食べたくなくなる、とおっしゃる方が多いです。
ですが、元気な高齢者は肉好きな方が多いです。
胃腸の消化の力が強いのでしょう。
ですが、多くの方は胃腸はそう強くはないです。
タンパク質は大豆や種子類などの植物性の蛋白質を多く摂りたいですね。消化に良く、栄養も豊富です。肉は消化に負担がかかるため、食べすぎないようにしましょう。
魚はオメガ3脂肪酸であるDHA、EPAの豊富な青魚など積極的に取り入れたいですね。
その他の栄養面ではカルシウムなどを多く摂れるため、全体を食べられる小魚がいいでしょうね。
腎臓が悪い方は蛋白質は全体に控えめにしましょう。
油の種類と質にこだわる
油、つまり脂肪酸は人体には欠かせないものです。脂肪酸は細胞膜を構成する成分となるからです。この細胞膜が不安定だと炎症が起きやすくなったり、動脈硬化・血栓ができやすくなったりします。
「油は体に悪い」と嫌厭される方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかり摂るようにしましょう。
人の体に最も必要で不足しやすい脂肪酸は「オメガ3系脂肪酸」です。
油の中では「亜麻仁油」や「えごま油」に多く含まれています。この油は加熱するとすぐに酸化してしまうため、生の状態でサラダにかけたり、飲み物などに混ぜて摂ることをお勧めします。
また、アボカドには良質な脂肪酸がたっぷり詰まっています。くるみやアーモンドなどのナッツにも脂肪酸が多いです。どちらも日常的に取り入れていただきたい食材です。
油についてはこちらの記事に詳しく記載しておりますので、参考になさってくださいね。
野菜と果物をしっかり食べる。果物は空腹時に。
野菜と果物はビタミン・ミネラルの宝庫です。野菜は意識して摂っていらっしゃる方が多いと思います。果物は非常に消化が早く、食べてから30分で吸収が始まると言われています。
ただ、食事の後にデザートとして食べると、胃に入っている食べ物の消化が優先されるますので、果物の消化は遅れます。血糖値や中性脂肪が上がる原因にもなりやすいです。
果物を摂るタイミングとしてオススメなのは、朝一番に摂る、食前に食べる、食間に食べることです。果物が最初に胃腸に入ると、すぐにエネルギーになってくれますよ。
日本で大量生産されている野菜は栄養価が低下していますので、要注意です。
キノコ、海藻などから食物繊維を摂る
キノコ、毎日食べてますか?キノコは食物繊維が多く、便通を整えてくれます。βグルカンという栄養素が免疫力をアップさせてくれます。
ワカメやモズクなどの海藻はマグネシウムたっぷりで、代謝をアップさせ、体に元気を与えてくれます。
マグネシウムは普段あまり意識しない栄養素かもしれませんが、日本人は不足している人が多いです。マグネシウムは体内酵素がしっかり動くために必須なミネラルであり、不足すると代謝や解毒の働きが悪くなってしまいます。
発酵食品を積極的に摂る
乳酸菌のチカラを借りて、腸内の環境を整えてくれる発酵食品。納豆、味噌、漬物、梅干しなどなど。日本の伝統的な食品でもあります。
日本人が古くから好んできた食品ですので、胃腸はしっかり慣れています。
その点、ヨーグルトなどは乳糖不耐症の問題もあり、合わない人もいらっしゃるかもしれません。
あとは質のよい牛乳から作られているかを想像することも大事です。
◯◯◯◯を予防する3要素の一つ「運動」
あなたは毎日、一生懸命運動していますか?
結論から言いますと、毎日、必ず運動する必要はありません。体には成長と休息を置く時間が必ず必要だからです。
しっかり運動する日と、休む日をはっきり決めておいた方が、体も気持ちもラクです。また、筋トレすると筋肉を成長させようとする「成長ホルモン」が睡眠時に働きます。成長ホルモンがしっかり働くためには筋肉の休息が必要です。
それでは、具体的にどんな運動をすればよいでしょうか?
筋肉モリモリを維持したい方は、全身の筋トレをなさってもよいと思います。
多くの方は健康を維持したいための運動を行いたいでしょうね。
健康を維持するために必要なのは、「下半身の筋力強化」です。
それは一生、元気に歩くために必要なものです。皆様がご存知の通り、歩けなくなったら体は弱る一方です。
また、下半身には全身の筋肉のうち70%を占めていると言われます。
下半身の筋肉を鍛えると、代謝がアップし、体温も上昇します。エネルギー代謝がよくなり、太りにくくなります。
散歩を習慣になさっている方、多くいらっしゃるかと思います。ただ、雪が積もって路面が滑ったり、天候が悪かったりするとできないこともありますね。特に冬は散歩はしづらいと思います。
また、トレーニング施設に赴いて頑張って器具などを使用して運動されている方。素晴らしいと思います。でも天候が悪かったり、気乗りしなかったりすると、毎日行くには鉄の意志が必要ではないでしょうか、、、。
そこで、ぜひ「自宅で習慣として続けられる運動」を取り入れていただきたいと思います。一番、習慣として行っていただきたいのが「スクワット」です。
それも週に2回、1日20〜30回ぐらいでもいいんです。1セット10回、2-3セットぐらいから始めてみてはいかがでしょうか?
スクワットをする前は関節や筋肉を痛めないように必ずストレッチをしてから行ってください。
普通のスクワットが難しい方、もっと楽な方法で行ってもかまいません。椅子を使った「もも上げ運動」や「椅子スクワット」も試してみてください。
もちろん日常生活の動作の中で筋力強化をはかることもできます。いつもより歩幅を大きくして歩いたり、階段を上ったり降りたり。そんな日常の些細なことでも筋力は維持できますね。
◯◯◯◯を予防する3要素の一つ「社会とのつながり」
ご高齢になってもお仕事をされたり、ボランティアをされている方は輝いていますよね!
そして若々しい方が多いです。
このことは社会とつながりを保ち続ければ、「いつまでも元気で若々しくいられる」という証拠になっていますね。
現役で仕事を続けている間は職場の同僚、お客様、患者様と多くのつながりを持つことができているでしょう。それが「生きがい」にもつながっています。
仕事を定年退職したり、病気や家庭の事情などで続けられなくなった場合に、自宅で独りになってしまいます。また、不幸にもパートナーに先立たれてしまった方も多くいらっしゃいますね。
生きがいも同時に失ってしまうのでしょう。
そして、「独り」になることが最も「フレイル」になるリスクが高いです。
しかし、独りになったとしても、社会とのつながりを持つことで、元気をもらえると思いませんか?
社会とのつながりを持つこと、言うほど簡単なことではないかもしれません。少しでも時間でもいいので、何かの仕事をする。趣味やスポーツなどでも人とつながることができますね。
社会的な「孤独」を避け、楽しみ、やりがいを感じながら生き甲斐を持ち続けていきたいものですね。
今はSNSも発達しており、SNSをきっかけに社会的繋がりを広げていくこともできますね。
何歳になっても、素敵な繋がりを広げていきたいものですね!
医療との賢い付き合い方
歳を重ねても病気知らずというのが理想だと思いますが、なかなかそうはいかないとかもしれません。医療や病院とうまく付き合っていきたいものですね。
薬に関しても、なるべく副作用の強い薬は飲まないようにしたいですね。強い薬で体が弱ってしまったら、回復するのに相当な時間がかかりますし、また弱ったままになってしまうかもしれません。
手術に関しても同様のことが言えます。病気を治すためには手術が必要な場合が多々あると思います。でも、病気が治ったとしても、その代償として体が弱ってしまったら、かえって健康寿命を縮めてしまうかもしれません。
「Cure(キュア):治す」ことを目的とするのではなく、「Care(ケア):和らげる」ことに方向転換する必要がある瞬間が誰にでもやってきます。慎重に考えていきたいものですね。
薬や手術のいらない体づくりを今のうちから、しっかりやっていきましょう!
最後に
フレイルに陥ることが健康寿命に即直結すること。また、フレイルをいかにして予防するか、御理解いただけましたでしょうか。
医療者としてもフレイルに積極的に対処・予防する姿勢をより進めていきたいと考えております。
また今回参考にさせていただいた北村明彦先生の著書『100年時代の健康法』は多くの方に共感いただける内容だと確信しております。
そして、くどいようですが「まだ若いから大丈夫」という認識は捨てた方がよいと思います。
誰しもフレイルに足を踏み入れてしまうかどうかのスタートラインはすでに超えていると考えて、明日からすぐに取り組みましょう。1日でも早い方がいいです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
今回は人間にとって永遠のテーマである、「長生き」についてです。寝たきりで長生きしたいとは思いませんよね。『元気に長生きするため』には何が必要なのでしょうか?