免疫力を上げるにはどうすればいい?ウィルスに負けない体づくりの方法をお伝えします!

Dr.コバ

こんにちは!

こばやし内科クリニックの小林です。

今回は『免疫力』について深く理解していただき、そして『免疫力を上げる方法』についても、よく知っていただきたいと思います。

そして、「ウィルスになんか負けない体を作る」という意気込みをぜひ持ってくださいね。

小春

ボクは風邪なんて引いたことないニャ〜!

あなたは風邪をよく引きますか?

例えば、子供の風邪をよくもらってしまうとか。

「なぜ、こんなに風邪引いてしまうの?」って思ったことはありませんか?

よく「私は風邪なんて引いたことないわ〜」っていう方もいます。

風邪をよく引く人、全く引かない人の何が違うのでしょうね?

かく言う僕も、昔はよく風邪を引いていました。

さらに入院するほどではなかったですが、一度『肺炎』になってしまったこともあります。

その頃の僕の様子を思い浮かべると、ストレスが多く、野菜中心の食生活を送っていました。

当時は野菜中心が健康の素だと思っていましたから(汗)。

明らかに『免疫力』を上げるための栄養が足りていなかったのです。

最近になって、昔のことをいろいろと考察できるようになってきたのです。

これもオーソモレキュラーを学んでいる成果だと感じています。

免疫力を上げるキーワードは『タンパク質』、『ビタミンD』、『IgA』、『鉄』、『亜鉛』です。

今回の記事は病原体を『ウィルス』に絞ってお話ししていきたいと思います。

それぞれ、詳しく解説していきますので、最後までお読みくださいね。

免疫力って一体、何?

私たちは、『免疫力』という言葉をよく使ったり、聞いたりしますよね。

あの人は、体が丈夫そうで免疫力が高そう」とか思うこともありますね。

でも、どこか漠然としていますよね・・・

免疫力をしっかり解剖して見ていく必要があります。

まずは免疫力を3段階に分けてみます。

免疫力が働く3段階
  1. ウィルスに感染しないようにする免疫力(自然免疫、非特異的免疫)バリア(防御)
  2. 感染した後にウィルスを排除する免疫力(特異的免疫):アタック(攻撃)
  3. ウィルスを排除した後に炎症を鎮める免疫力:クリア(清浄化)

免疫力は一つの場面で発揮されるわけではありません。

わかりやすくするために、おおまかに、この3つに分けるべきだと考えました。

例えるなら、バリア→アタック→クリアという流れです。

それでは、それぞれについて解説していきます。

ウィルスに感染しないようにする免疫力

これが最も大事ではないでしょうか?

『バリア』を強くすることです。

ウィルスに感染しなければ、体には何も起きませんね。

発熱や咳が起こることもありません。

病院に検査に行く必要もありません。

最も基本的と思われますが、最も大事な免疫力ですよね。

周りはみんなインフルエンザにかかっているのに、自分だけならない・・・という人は、きっとこの『免疫力』が強いのだと思います。

さて、この『ウィルスに感染しないようにする免疫力』はどのように身につければよいのでしょうか?

この免疫力に関わる主なものは『ビタミンD』、『IgA』、『粘液』、『マクロファージ』、『ナチュラルキラー細胞』です。

いずれも、主戦場は気道と消化管の『粘膜』です。

粘膜からウィルスが侵入しないように、これらの物質・細胞が共同してバリアーを張ります。

それでは、それぞれの物質・細胞の役割について解説していきます。

ビタミンD

ビタミンDが免疫に強く関与することは、ここ最近、かなり有名になりましたね。

そのため、サプリメントなどで補充される人も増えていると思われます。

それでは、ビタミンDがどのような役割を果たしているでしょうか?

大きくは2つです。

ビタミンDの役割
  1. 抗菌ペプチドを生成する
  2. 免疫細胞に指示を出し、コントロールする司令官の役割をする

ビタミンDはまず、抗菌ペプチドを生成することでウィルスの増殖を防いでいるのですね。

②のビタミンDの司令官としての役割は複雑であるため、ここでは詳しくは説明しません。

ビタミンD=『免疫の司令官』と理解しておきましょう。

これらのことから、ビタミンDが不足すると自然免疫が低下してしまうことは容易に想像ができますね。

日光によく当たる人はビタミンDが十分に合成されます。

農家の方はきっと、ビタミンDが多く合成されて、風邪を引きにくいのではないかと推測されます。

IgA

IgAという物質をご存知でしょうか?

同じ仲間にIgM、IgG、IgE、IgDがあり、それらを総称して『免疫グロブリン』と言います。

IgAは免疫を担当している物質の中ではマイナーかもしれませんが、かなり重要なものです。

IgAは粘膜の粘液中に存在し、粘膜に侵入しようとするウィルスを攻撃します。

鼻から肺までの空気の通り道を『気道』と言いますが、気道の粘膜にはIgAが存在し、ウィルスが体内に入り込まないように監視・防御をしています。

IgAを十分に分泌することができれば、『自然免疫』はグンと上がるのですね。

そのためには十分量のビタミンAとグルタミンが必要となります。

ビタミンAと言えば、「眼にいい」というイメージですね。

ビタミンDだけでなく、ビタミンAも免疫に関わっているわけですね。

グルタミンは非必須アミノ酸であり、健康な粘膜を作るために必須の栄養素です。

非必須アミノ酸であり、食事から摂取しなくても体内で合成されるものですが、ストレス時や感染症にかかった時には、多量に消費されて不足しがちです。

IgAを増やすためには

ビタミンAとグルタミンを十分に補給することが重要!

粘液

『粘液』というと、地味な感じで、あまり響きはよくないかもしれませんが、とても重要なものです。

簡単に言えば「ネバネバした液体」です。

粘膜の表面に粘液が十分あると、ウィルスが入り込んだとしても、かなり時間を稼げます

時間を稼いでいる間に、IgAやマクロファージにウィルスを攻撃してもらうわけです。

人体をお城に例えるなら、粘膜は城壁であり、粘液は『お堀の水』にあたります

ウィルスがお堀にはまっている間に、IgAやマクロファージが槍や弓などで攻撃する、といったイメージです。

この粘液も、栄養状態により出方が変わります。

「鼻やのどが乾燥した感じ」が続いている人は、粘液の分泌が低下している可能性があります。

粘液を潤沢に出すためにはタンパク質と硫黄が必要です。

動物性食品などからタンパク質を十分に摂取し、ネギ類、ニラ、ニンニクなどの硫黄を含む野菜を摂ることも大切です。

よく、冬場は空気が乾燥しやすく、粘膜も乾燥しやすいと言われます。そのため、ウィルスが粘膜に入り込みやすい環境になっています。

しかし、栄養面で十分に対策できていれば、乾燥も防げるはずです。

加湿器で水分を増やしても、感染防御には直接はつながりません。

粘液は時間稼ぎのための『お堀』の役割をしている!

マクロファージ

マクロファージは例えるなら『お掃除屋さん』です。

普段は『単球』として存在していますが、活性化すると大きくなり『マクロファージ』や『貪食細胞』と呼ばれる細胞に変化します。

マクロファージの武器は『活性酸素』です。

活性酸素というと「病気や老化の諸悪の根源!」というイメージを持たれているかもしれませんが、決してそうではありません。

体内でも活性酸素をうまく利用して、ウィルスを攻撃して排除するわけです。

マクロファージは活性酸素を出してウィルスをやっつけたり、ウィルスを弱らせて丸ごと食べたりします。

マクロファージが活性酸素を十分に出すためには『鉄』が必要です。

鉄不足があると、マクロファージの活性が落ちて免疫力が低下します。

貧血や鉄不足によって風邪を引きやすくなっているという可能性もあるのですね。

マクロファージは鉄を使って活性酸素を出す『お掃除屋さん』

ナチュラルキラー細胞

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)も聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

「笑い」がナチュラルキラー細胞を増やすとよく言われていますよね。

逆に言えば、ストレスがかかるとナチュラルキラー細胞の働きは悪くなるわけです。

ストレス社会の今日、ナチュラルー細胞が弱っている人は多いのではないでしょうか?

ストレスフリーが理想ですが、なかなか実現するのは難しいと思いますので、『ストレスに強い心と体』を作ることを目標にすべきでしょう。

↓こちらの記事を参考になさってください。

ナチュラルキラー細胞はウィルスがすでに侵入してしまった細胞を攻撃し、ウィルスとともに排除してしまいます。

細胞は犠牲になってしまいますが、他の細胞にウィルスが拡がらないようにするための策です。

このような働きから、ナチュラルキラー細胞は『ヒットマン』のような役目を担っていると言えるでしょう。

ナチュラルキラー細胞は『ヒットマン』!

感染した後にウィルスを排除する免疫力

ここまでの解説で自然免疫を担っている物質や細胞の役割をご理解いただけましたでしょうか。

一つのものが頑張っているわけではなくて、多くのものが共同してウィルスによる感染を『ブロック』しているわけです。

それでは、不幸にもウィルスが粘膜内に侵攻して体内に入ってしまった場合、どう免疫力が働くかを解説していきます。

簡単に言えばウィルスを『アタック』するようになります。

ここではB細胞、T細胞、形質細胞などの細胞、IgM、IgGという免疫グロブリンがメインとなります。

大雑把に言えば、ヘルパーT細胞がウィルスを認識すると、B細胞に指令を出して形質細胞に変化させます。そして形質細胞からIgMなどの免疫グロブリンが分泌され、ウィルスを排除しようとします。

↓詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください↓

詳しくはこちら

IgMという免疫グロブリンはウィルスが感染した初期に増え、必死に感染が拡がらないようにがんばります。

そして、ある程度時間が経って、IgGという免疫グロブリンができると、感染は急速に収束へ向かいます

つまり、IgGという抗体ができるまではウィルス感染による発熱、のどの痛み、咳、胃腸症状などが持続してしまうわけです。

この段階に入ってしまうと、治癒するまで少なくとも1~2週間はかかることになります。

一度IgGができると、たいていのウィルスは再度感染しても、免疫系が覚えており、すぐに排除することができます。

これを終生免疫や獲得免疫と言います。

栄養面においては、IgG、IgMのような免疫グロブリンを作るのもタンパク質です。

食事からタンパク質の補給が思うようにできなくなると、なかなか感染症も収束しないわけです。

また、ビタミンCを多く摂ると、白血球が活発になりますので、治癒が早くなる可能性はあります。

ビタミンCについての記事も良かったらご覧ください。

体内にウィルスが入ってしまったら、タンパク質とビタミンCで免疫を活発にしましょう!

そもそも、ワクチンってどんな働き?

僕らはワクチンとは切っても切れない関係になりましたね。

実際、ワクチンによって克服された感染症も多くあります。

ただ、ワクチンによる害は無視できるものではありませんので、『ワクチン反対』の立場を取る人がいるのも当然だと思います。

僕は医療従事者なので仕方なくワクチンを打っていますが、打たなくて済むなら、それに越したことはないと感じてはいます。

ようやく本題に入りますが、ワクチンって免疫のどの部分に働いているか、考えたことはありますか?

ワクチンは少量で弱毒化した抗原を体内に接種することで、免疫系を刺激し、ウィルスに対する抗体を作らせることが目的ですね。

ここでできる抗体は『IgG』です。

前項で説明した内容に照らし合わせると、IgGは感染が成立した後に、体からウィルスを排除するために働く抗体です。

つまり、ワクチンを打ってできたIgGが活躍できるのは、ウィルスの感染が起きてから、ということになります。

そうすると、ワクチンを打てば『ウィルスに感染しない』ということにはならないわけです。

たとえ感染してしまったとしても、IgG抗体の働きによって重症になることを防ぐ、というのがワクチンの働きと考えるべきでしょう。

ウィルスに感染しないためには最初の方で解説した『自然免疫』を強めることが第一です。

ウィルスを排除した後に炎症を鎮める免疫力

さて、ウィルスが体に感染してしまったものの、IgMやIgGなどの免疫グロブリンの働きのおかげで、なんとかウィルスを排除することができました。

しかし、ウィルスが排除された後でも発熱や痛みなどが続く場合があります。

これはどういうことなのでしょうか?

ウィルスを排除するためには、免疫系が感染した細胞に対して、わざと炎症を起こします

炎症を起こすと細胞も死んでしまいますが、ウィルスも排除することができます。

この免疫系が炎症を起こす働きが、過剰になり、不必要に持続してしまう場合があります。

このことを『免疫の暴走』とか『サイトカインストーム』と呼んでいます。

免疫の暴走が続いてしまうと、ウィルスとの戦いに勝ったとしても、細胞や組織は焼け野原となってしまいます。

これでは『クリア』な状態とは言えません。

なぜ免疫の暴走が起きてしまうのでしょうか?

これは炎症を起こす物質のアンバランスに起因すると考えられます。

炎症を起こすのは、細胞質を構成しているオメガ6系脂肪酸から作られる、アラキドン酸などのエイコサノイドです。

それに対して、炎症を鎮めるのは同じく細胞質を構成している、オメガ3系脂肪酸からできるEPAなどです。

体内の脂肪酸がオメガ6系脂肪酸に偏っていれば、炎症が長引いたり重症になったりする恐れがあるわけです。

ここで普段摂取している脂質の大事さがよくわかります。

何も意識していなければ、食事から摂取する脂質はオメガ6系ばかりになってしまいます。日常的に使う油も普通はオメガ6系が優位です。

亜麻仁油、えごま油、魚油など、意識しないとオメガ3系は摂取できません

以前の記事でも紹介しましたが、オメガ3系:オメガ6系は1:2が理想と言われています。できるだけ1:1に近づけるとよりいいです。

↓こちらもご参照ください

免疫を暴走させないためにも、揚げ物などはなるべく控え、オメガ3系脂肪酸を積極的に摂りましょう。

亜鉛と免疫

亜鉛の免疫系に関わる作用は数多くあります。

ウィルスとの戦いにおける、どのフェーズでも必須と言えるでしょう。

亜鉛は細胞分裂を促す栄養素であり、免疫に必要な細胞を増やすのに不可欠です。

またB細胞、T細胞などの免疫細胞を調整する働きもあります。

そして、意外な作用として気道の粘膜に存在する多数の繊毛を動かす役割もあります。

繊毛の動きがよいと、ウィルスが体の奥深くまで入り込むことを防いでくれます。

このように、免疫力を上げるために亜鉛は必須な栄養素と言えます。

腸内環境を整える

そして、腸内環境を整えることも重要です。

腸には全身の7割の免疫細胞が集まっていると言われています。

小腸のパイエル板には多数のリンパ球が待機しており、感染に備えています。

腸内環境が悪いと、腸の粘膜に炎症が起き、免疫系にも悪影響が生じます。

免疫力を高めるためには腸内環境を整えることも非常に重要なんですね。

さいごに

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

免疫力を上げる方法について解説してきましたが、あなたも感じている通り、『ウィルスに感染しない』ことが最も重要ですよね。

それは栄養を過不足なく摂取する、ということが大事です。

特にタンパク質、ビタミンD、ビタミンA、亜鉛、鉄は現代人にとって不足しがちな栄養素です。

これらの栄養素を日頃から食事より意識して摂取することと、必要に応じてサプリメントを追加することが極めて重要です。

一人でも多くの人が『最強の免疫力』を手に入れて、ウィルス感染症に立ち向かえる自信がつくことを願っています。

それではまた。

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