『なんだか最近疲れやすい』と感じた時に不足している栄養素は?

Dr.コバ

こんにちは!こばやし内科クリニックの小林です。

普段、疲れやすくて困っていることはありませんか?

その疲れ、『栄養不足』から来ていませんか

足りない栄養素を補充することで改善できたら嬉しいですよね!

そして、毎日、疲れ知らずで元気に過ごしたいものですね〜。

リン

リンちゃんは、歳のせいか疲れやすくて、いつも寝てるニャ。

Dr.コバ

りんちゃんは17歳(人間で言うと90歳以上)でかなりの老猫ですが、まだまだ元気です。

もっともっと長生きしてほしいですね〜。

あなたは、普段から疲れやすくて困っていませんか

僕も以前は疲れが抜けにくくて、朝から疲れた状態で仕事していました(泣)。

でも、間欠的なファスティングや栄養摂取を心がけることで、疲労感を感じることは少なくなりました。

そうなんです、疲労感も『栄養』で解決できるのです。

慢性疲労がつらくて、病院を受診する場合もあると思います。

検査を受けて、大きな病気がない場合、さまざまな病名がつく可能性があります。

『慢性疲労症候群』、『自律神経失調症』、『起立性調節障害』、『うつ』、『副腎疲労』など、たくさんあります。

それぞれの病名には特徴がありますが、共通点もあります。

それは『何らかの栄養素が欠乏している』ことです。

欠乏していると言っても、一般の病院で行われる血液検査で指摘されることは少ないと思います。

「それじゃあ、どうすればいいの?」って思われますね。

この記事では、そんな悩みにお答えしていきたいと思います。

最後までお読みいただければ、『疲れやすい』ことに対する対処法をご理解いただけること思います。

働いている人の2/3は『慢性疲労』を自覚している

まずは働いている人の慢性疲労について調べた統計を見てみましょう。

2011年に行われた2665名の労働者の回答から得られたデータ

こちらのデータより、「最近、疲れやだるさを感じている?」と「ストレスを感じている?」という質問に対しての回答を示したのが、下の円グラフになります。

グラフを見ると、『疲れやだるさを日常的に感じている人』が66%と、全体の2/3を占めます。

『ストレス』については、強く感じている人が23%、やや感じている人が55%であり、合わせて78%にも及びます。

働いている人が、いかに疲れやストレスと闘いながら仕事を頑張っているかが、よくわかりますね。

もちろん、仕事をしていないからと言って、ストレスや疲れがないとは限りません。

専業主婦・専業主夫をされている方についても、子育てや家事の負担が大きいことでしょうね。

つまり、『現代人のほとんどは疲れやストレスに常日頃、悩まされている』と言ってもいいでしょう。

症状が深刻な場合は、病院に相談されることになるでしょう。

病院では一般的にどのように対処されることになるでしょうか?

病院を受診した場合

これはあくまで、一般的な話です。

まずは血液検査などで、病気が隠れていないか、検査されることが多いでしょう。

「肝臓が悪くないか」、「腎臓が悪くないか」、「糖尿病などの生活習慣病がないかどうか」、「貧血がないかどうか」などは血液検査でよくわかります。

これらのどれかに異常があれば、慢性疲労の解決の糸口がわかることもあるかもしれないですね。

ただ、印象としては『疲れ』を主訴に受診される方は、一般的な検査では異常を示さないことが多いようです。

その後の医師としての対応は次の3つに分かれることになるでしょう。

  • 特に病気ではないので、心配ないと言われる。
  • 生活習慣でのアドバイスをくれる。(運動・食事・飲酒習慣など)
  • 漢方薬などで『疲れ』の改善をはかる。

それぞれについて言及していきます。

心配ないと言われる場合

一般的なケースとしては「心配ない」と言われて「通院の必要はなし」と判断されることが多いように思います。

「病気ではないでしょう」と言われれば、確かに安心はするかもしれないですね。

しかし、本当に困っているのは慢性疲労ですね。

そのことは何も解決していないわけです。

そうすると、「他の病院に行ってみようか・・・」と思ったり、「病院に相談してもダメかな・・・」と半分あきらめの気持ちも生まれてきてくるかもしれません。

僕は大学生の時に慢性疲労でかなり困って、いろんな病院を受診しましたが、解決してくれる病院は一つもありませんでした・・・。

生活習慣のアドバイスをくれる場合

親身になってくれる先生は、「運動するようにしましょう」とか、「外を散歩しましょう」とか、「ストレス発散しましょう」など言ってくれそうですね。

お酒の量が多い場合は「休肝日を作りましょう」と言われるかも。

それらのアドバイスをもらい、実行して、体調が良くなる場合もあるでしょう。

漢方薬を処方される場合

『疲れ』や『ストレス』は確かに病気ではありませんが、東洋医学で言うと、『未病』にあたります。

未病という言葉も、だいぶ多くの方に浸透してきたのではないでしょうか。

未病とは、病気になる前に表れる、さまざまな心身の不調のことを指します。

現代人の多くは、この『未病』に対して困ったり、悩んだりしている、と言ってもいいかもしれません。

漢方薬は、未病を治療するのがとても得意なのです。

昔は漢方薬はマイナーでしたが、今では医師の90%が漢方薬を日常的に処方していると言われており、すっかりメジャーになりました。

慢性疲労によく使われる漢方薬は『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』、『人参養栄湯(にんじんようえいとう』、『十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)』などです。

漢方薬で劇的な効果が得られることは少ないですが、人によっては慢性疲労が楽になるかもしれないですね。

栄養学的にいう『疲労』とは

さて、いよいよこのブログの真骨頂である『オーソモレキュラー』の観点から、慢性疲労の解決方法を提案していきます。

疲労とは、『身体のエネルギーが足りない状態』と定義すると、わかりやすいと思います。

そのエネルギーとは具体的に何なのでしょうか?

栄養学的に、身体を活動させるエネルギーは『ATP(アデノシン三リン酸)』と言います。

そして、ATPを体で生み出すために必要なのが、タンパク質・脂質・炭水化物の『三大栄養素』です。

今までの栄養学的な常識では、食べ物から得られる『総エネルギー量(kcal)』が重要視されていました。

いわゆる、『カロリー計算』ですね。

ですが、この『カロリー神話』には重大な落とし穴があることがわかってきました。

単純に食べ物から得られるカロリーが多ければ、元気になれるでしょうか?

決してそうではないことは、感覚的におわかりいただけることでしょう。

これからは、食べ物から得られる『カロリー』ではなく、『ATP』をいかに作り出せるかということに、考え方をシフトしていくべきだと考えます。

一般的に示されている理想的なエネルギー量

食べ物から得るべきエネルギー量(Kcal)は、一般的には30~35kcal/kgと言われています。

60kgの男性であれば、1800kcal〜2100kcalになります。

そして、厚生労働省の指針では、総エネルギーのうち50~65%を炭水化物から摂取するように示しています。

ざっくり言えば、1日のエネルギーのうち、およそ1000kcalを炭水化物から摂取すべき、ということです。

白米100gが156kcalですので、1000kcal摂取するためには、白米640g程度が必要です。

お茶碗大盛り3杯分ぐらいに相当しますね。

この量が多いか少ないかは、人によると思いますが、僕はけっこう多いかな、という印象を持ちます。

炭水化物メインの食事に潜む落とし穴

現在、現場で主流となっている栄養学は前述の考えに沿っていますので、やはり炭水化物がメインです。

栄養士さんも三大栄養素のバランスは炭水化物メインと学んでいらっしゃることでしょう。

ここで、重大な落とし穴があります。

炭水化物をATPに変えるには、かなり効率が悪い』ということです。

以下の図を見てみてください。

解糖系、TCAサイクル、電子伝達系を大幅に簡略化して示しています。

細胞内でのATP産生

炭水化物はブドウ糖(グルコース)として、細胞内に取り込まれます。

そうすると、細胞質において『解糖系』の働きによりピルビン酸に変えられます。

ここで、2分子のATPが作られます。

この解糖系はあっという間に進み、体のエンジンに火をつける役割を果たします。

そして、ピルビン酸はビタミンB1を補酵素として、アセチルCoAとなります。

ブドウ糖がアセチルCoAに変えられて初めて、ミトコンドリア内に入り、『TCAサイクル』・『電子伝達系』を経て、さらに合計36分子のATPが作られます。

ここで、ブドウ糖がアセチルCoAに変えられるまでは、多くのビタミン・ミネラルを消費してしまうことになります。

ミネラルの中でも、特に『マグネシウム』を消費します。

ですので、炭水化物に偏った食事を摂り続けると、ビタミン・ミネラルの不足を招いてしまい、ミトコンドリアの働きは著しく落ちてしまうのです。

解糖系はすぐに働いてくれるのですが、ミトコンドリア内のTCAサイクル・電子伝達系はうまく回らなくなります。

ミトコンドリアが、細胞内でエンジンの役目を果たしていますので、そのエンジンの働きが悪くなってしまうのです。

すると、体に本来必要である、ATPはどんどん不足していってしまいます。

ATPが不足すると、『疲れやすい』状態となってしまい、『慢性疲労』につながっていきます。

ATPを潤沢に作り出せる栄養素

食事が炭水化物に偏ってしまうと、ATPを潤沢に作り出せることができなくてしまう理由についてはご理解いただけましたでしょうか。

そうすると、三大栄養素のうち『脂質』と『タンパク質』が残るわけですが、そのうちどちらを重視すればよいのでしょうか。

タンパク質も細胞内でエネルギーに変えることは可能です。

しかし、人の体の20%はタンパク質であり、常に作り替えられています

そのために必要なのが、食物中のタンパク質です。

ですので、タンパク質はエネルギーに使用してしまうことはもったいないため、タンパク質そのもののとして体に利用した方が理にかなっているわけです。

残るは消去法で『脂質』となります。

いえ、消去法ではなく、脂質をエネルギーとして利用するのが、最も理にかなっているのです。

細胞内でのATP産生

こちらの図を見返していただくと、脂質からアセチルCoAに変えることができれば、あとはミトコンドリアがなんとかしてくれそうですね。

脂質からアセチルCoAに変えるためには、『β酸化』という過程を経る必要があります。

こちらはビタミンB2を補酵素として進みますが、使用されるビタミン・ミネラルについては多くはありません。

しかし、普段の食事が炭水化物メインであると、β酸化がなかなか起こりません。

脂質をエネルギーにするためには、ある程度の糖質制限を行い、脂質を十分に摂取する必要があります。

ATPを作り出せる食べ物

前述のように、ATPをしっかり細胞内で作らせるためには、『脂質』をしっかり摂ることが重要です。

それでは何から脂質を取ればいいのでしょうか?

やはり良質な脂質を摂りたいものですね。

おすすめする脂質
  • オメガ3脂肪酸が多い植物油(亜麻仁油、えごま油)
  • DHA、EPAリッチな青魚
  • 中鎖脂肪酸を多く含む油(ココナッツオイル、MCTオイル)
  • 動物性の脂質(肉類、バター、ラードなど) ※バターはグラスフェッド・ギーがおすすめ
  • ナッツ(アーモンド、くるみ、カシューナッツなど

動物性の油は『太る』とか、『体に悪い』というイメージが定着している印象がありますが、決してそうではありません。

動物性の油は植物性の油と違って、酸化しにくい安定した物質です。

バターのような室温で固体である飽和脂肪酸を食べて、体の中に入ると『油の塊を作る』ということも言われていましたが、そうではありません。

動物性の油が体に害を及ぼすというのは大きな間違いです。

強いて言えば、抗生物質を乱用された家畜の脂肪には、有害物質が蓄積している可能性があるということです。

抗生物質や有害物質が体に入ることは、なるべく避けたいですよね。

なるべく自然の環境で、のびのび育った牛肉や豚肉を選べるといいですね。

脂質については、以下の記事も参考にしていただけると幸いです。

ATPを作り出すのに補給したいビタミン・ミネラル

三大栄養素のうち、『脂質』が最も重要であることは、ご理解いただけましたでしょうか。

脂質を多く摂取しても、細胞内での代謝に必要なビタミン・ミネラルが不足していれば、ATPをうまく作り出すことはできません。

多くのビタミン・ミネラルが必要ですが、その中でも重要なものを挙げてみます。

ATPを作り出すために重要なビタミン・ミネラル
  • ビタミンB群
  • ナイアシン
  • マグネシウム

ビタミンB群

ビタミンB群は8つありますが、どれも三大栄養素の代謝には不可欠なものです。

ビタミンB1は糖質、ビタミンB2は脂質、ビタミンB6はタンパク質の代謝に主に使われます。

ビオチン、パントテン酸、葉酸、ビタミンB12も互いに助け合いながら、働いています。

ストレス社会で食べ物の栄養価も低くなった今日では、ビタミンB群は食事では十分な量を補いきれなくなっています。

ビタミンB群のサプリメントは、必ず8種類すべてが含まれているものを買いましょう

健康保険で処方されるビタミン剤は残念ながら、数種類しか入っていませんので、非常に効きが悪いです(僕はそれでもやむなく処方する場合がありますが)。

ナイアシンもビタミンB群の一つですが、特に重要なので、分けて説明します。

ナイアシン

ナイアシンはATPを作り出すために最も重要と言ってもいいものです。

具体的には『水素分子』を受け渡すことで、化学反応を起こす補酵素となっています。

ナイアシンが枯渇すると、多くの化学反応がうまくいかなくなってしまうのです。

非常に多く消費される栄養素です。

それでいて、食べ物から摂取できるナイアシンはそう多くはありません

サプリメントの重要性が非常に高いものの一つです。

マグネシウム

日本人はミネラルの中でも、特にマグネシウムが欠乏していると言われています。

カルシウムが不足するよりも、マグネシウムが不足する方が、健康に対するデメリットは大きいと感じます。

こちらもATPを作り出す過程において非常に重要なものです。

豆腐や海藻などを多く食べることができれば、ある程度の補給はできますが、それでも足りないことが多いです。

サプリメントとして補給するのも一つであり、スーパーで「にがり」を買って、少しずつ食べ物に混ぜて摂取することも有用と考えられます。

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事をお読みいただいたあなたには、ATPを作り出すための栄養をしっかり摂取し、疲れ知らずなタフな体を手に入れていただきたいと思います。

それではまた。

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